日本最長の手掘りトンネル「中山隧道(全長877m)」の暫定補強工事が完了、入り口から70mまで一般公開することとし、4月11日、報道陣や地域の皆さんに対し内覧会を開催しました。
中山隧道は、小松倉集落の住民が冬期間の孤立を避けるため、昭和8年に手掘りにより掘削を開始、16年かけて昭和24年に貫通させました。
中越地震でも大きな被害はなく、一般公開を継続してきましたが、壁面がはく落する等の危険が生じたため平成27年4月から通行止めにしました。
補強工事は、アルミ支柱で柱を立て、ポリカーボネートの屋根を付けてアーチ通路とした他、支柱に照明を計20灯整備するとともに、案内看板・誘導看板を設置しました。事業費は約1,160万円で、うち半額を国の地域再生戦略交付金で充当しました。
写真は、当時使用した本物のツルハシを使った点灯式の様子です。
冬には積雪が数mに達する中山峠を超えることは、吹雪で道に迷ったり急病人の救助に間に合わないなど、犠牲者も発生していました。
「自分たちで掘ろう」と“志”を立てた小松倉集落の皆さんが、16年かけてツルハシで掘り抜いた、まさに「命のトンネル」です。
中山隧道は、平成18年に土木学会の選奨土木遺産に認定されましたが、「日本一長い手掘り隧道」という点はもちろん、「現在も残るツルハシの痕跡など先人達の偉大なエネルギーと苦闘の歴史を伝えてくれる貴重な土木遺産」という点が評価されました。補強工事は、ツルハシの痕跡などを直に見てもらえるように、側面はあえてむき出しにしています。当時の苦闘ぶりや熱意を間近で感じていただけます。
これまで、集落の先人の“志”を後世に伝えるべく、小川区長さんをはじめとした保存会の皆さんが週に1回の中山隧道公園の清掃など、活動を熱心に続けてこられました。
また、山古志小学校の児童も、ふるさとの誇りを未来に伝えるため、総合学習においてこの苦闘の歴史を学んでいます。
「中山隧道」の歴史と先人の汗の結晶を後世に伝えることは、とても意義深いことです。
当日、山古志には春に雪がちらついてきて、山古志らしい内覧会となりました。
今回の工事には、国の地域再生戦略交付金を活用しましが、これは「復興から地方創生に向けた中山間地域の再生モデル」の構築に向けた計画に基づく事業手あるということです。
木篭地区の水没集落、牛の角突き、棚田、錦鯉などと連携してこの中山隧道を広くアピールすることにより、今後の地方創生にもつなげたいと考えています。
You must be logged in to post a comment.